企業型DCの最新動向と今後の予測について
投稿日:2025.04.25
日本における企業型確定拠出年金(企業型DC)は、2001年の制度開始以来、着実に普及し、加入者数や導入企業数が増加しています。
本記事では、企業型DCの現状や動向、今後の予測や展望について解説します。
目次
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が従業員の老後の資産形成を支援するための制度です。
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企業型DCの特徴
企業型DCでは、企業が毎月一定の掛金を拠出し、従業員がその資金を自ら選択した運用商品で運用します。将来の給付額は、拠出された掛金とその運用成果によって決まります。このため、従業員自身の運用判断が重要となります。
また、企業が拠出する掛金は従業員の所得とみなされず、非課税となり、運用益も非課税で再投資され、受取時にも一定の税控除が適用されます。
企業型DCと他の年金制度との違い
企業型DCは、確定給付型年金(DB)とは異なり、将来の給付額が運用状況に応じて変化することがポイントです。DBでは、予め将来の給付額を確定させておき、その給付額を担保するための運用リスクを企業が背負いますが、企業型DCでは、従業員自らが運用するため、運用リスクは従業員が背負う形となります。
また、口座開設や各種手数料、企業によっては拠出額の一部(または全額)を企業が負担・拠出するため、個人型確定拠出年金(iDeCo)のように、自らがすべての金額を負担・拠出する必要がないことは大きな違いといえます。
企業型DCの導入企業数と加入者数の推移
企業型DCの導入企業数
(出典:りそな年金研究所「企業年金・iDeCo等の概況について(2024年3月末現在)」)
企業型DCの加入者数
(出典:りそな年金研究所「企業年金・iDeCo等の概況について(2024年3月末現在)」)
これらのデータから、企業型DCの導入企業数および加入者数は、毎年着実に増加していることがわかります。特に、加入者数は年間20万人以上のペースで増加しており、企業の福利厚生としての確定拠出年金制度の重要性が高まっていることが示されています。
企業型DC導入企業の企業規模別割合
(出典:企業年金連合会「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」)
このデータから、企業型DCの導入は、企業規模(従業員数)が大きい企業ほど導入が進んでいることがわかります。採用活動や従業員満足度の向上に影響する福利厚生の一つとして導入することができるかどうかは、企業規模に比例する部分があるといえるでしょう。
ただ、そうした傾向の中でも、300人未満の従業員規模の企業が占める割合が40%に達しており、中小企業への導入も着実に進んでいる傾向にあります。
なお、最新の詳細な統計情報やグラフについては、厚生労働省や運営管理機関連絡協議会が公表している「確定拠出年金統計資料」を参照することをおすすめします。
企業型DC加入者の運用傾向
企業型DCの加入者は、預貯金や保険などの元本確保型商品から、投資信託(投信)へのシフトが進んでいます。2023年3月末時点での投信比率は約60%に達し、5年間で13.6%の増加が見られます。
特に若年層での投信比率の上昇が顕著で、20代の投信比率は80%を超え、30~40代よりも高くなっています。この傾向は、長期的な資産形成に対する意識の高まりを反映していると考えられます。
企業型DCの今後の展望と課題
企業型DCの普及は進んでいますが、職業や企業規模による加入率の差異が課題として指摘されています。特に、中小企業や自営業者等での加入率が低く、制度の周知や導入支援が求められています。
また、2022年以降、加入可能年齢の引き上げやiDeCoとの併用要件の緩和などの制度改正が行われており、これらの施策が加入者増加に寄与することが期待されています。
まとめ
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、日本における老後資産形成の重要な手段として定着しつつあります。加入者数や導入企業数の増加、運用商品の多様化など、制度の成熟が進んでいますが、さらなる普及と効果的な運用のためには、制度の周知や教育、サポート体制の強化が必要になるかと思います。
今後も、法改正や社会情勢の変化に対応しながら、企業型DCの役割は一層重要となるでしょう。
株式会社アーリークロスでは、この企業型DCの導入支援から導入後の従業員サポートまで、オールインワンのサービスを提供しています。
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