【確定拠出年金】企業型DCとiDeCoはどっちを選ぶべき?併用についても解説!
投稿日:2023.04.07
確定拠出年金には2種類の制度があります。当社でも導入支援をさせていただいている企業型確定拠出年金(企業型DC)と、個人型確定拠出年金(iDeCo)です。
老後の資産形成のために掛金を拠出する制度という点では同様ですが、iDeCoは個人で加入できる一方、企業型DCは企業が導入している場合のみ加入できます。
この2つの制度に加入できる場合、どっちに掛金を拠出した方がいいのでしょうか?
今回は、それぞれの違いの解説と、2022年10月から法改正により出てくる「併用」という選択肢についても詳しく解説していきます!
目次
企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo) の違い
確定拠出年金には、企業型と個人型があります
まずは企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo) のそれぞれの特徴について確認していきましょう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、アメリカの401kプランをモデルとし、日本では2001年からスタートしました。
企業型DC企業が毎月一定の掛金を拠出し、従業員が掛金を運用し、老後の資産形成をしていく制度です。
毎月の掛金や運用中の利益も非課税のため、税制面でメリットを享受しつつ老後資産の運用ができます。
企業型DCより前の企業年金制度は、企業が掛金を拠出し、運用まで責任を負い、決まった額を従業員の退職時に給付する「確定給付年金」が主流でしたが、バブル崩壊に伴う運用成績の悪化、終身雇用の崩壊による人材の流動化、加えて少子高齢化により老後の資産形成も自助努力が必要になってきている事など、あらゆる要因により、企業の退職金制度として企業型DCを導入する企業が増えています。
※企業型確定拠出年金(企業型DC)詳しくはコチラもチェック!
毎月の掛金額の上限は、勤めている企業が他にも企業年金制度を導入しているかどうかで変わります。
掛金の上限額はそれぞれ以下の通りです。
- 他の企業年金がある場合 ・・・ 月額2万7500円
- 他の企業年金がない場合 ・・・ 月額5万5000円
※他の企業年金 = 厚生年金基金、確定給付企業年金など
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
2002年に制度がスタートした個人型確定拠出年金(iDeCo)は、勤めている企業が導入していないと利用できない企業型DCと異なり、原則全員が利用できる制度です。
企業型DCと違い、加入及び掛金の拠出はすべて自身で行いますが、企業型DCと同様に掛金、運用益は非課税というメリットがあります。
※個人型確定拠出年金(iDeCo)詳しくはコチラもチェック!
コチラも掛金額の上限が設定されています。以下の通りです。
勤務先のの企業年金制度の有り無しで掛金額の上限が異なります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)はどっちを選ぶべき?
勤めている企業が企業型DCを導入している場合、企業型DCとiDeCoでは、どっちを選択すべきなのでしょうか?
2つの違いで比較していきます!
税制メリット(控除)の違い
企業型DC、iDeCoは共に所得控除と退職所得控除の対象となりますが、企業型DCは社会保険料控除の対象となり月々の社会保険料の支払額を圧縮する事にもつながります。
社会保険料の個人負担額は概ね15%程度ですので、
毎月の掛金額が2万円の場合
20,000円(掛金額) × 15% = 3,000円
毎月の社会保険料が減る計算となります。
30歳から60歳まで同額を拠出した場合
3,000円 × 30年(360ヵ月) = 108万円
単純計算ですが、こんなにも社会保険料が軽減される計算です。
ただ、社会保険料が軽減されることのデメリットもあります。
社会保険料の金額が減るということは、健康保険料、雇用保険料、厚生年金保険料の金額が減るということですので、以下の給付額に多少影響が出ます
- 健康保険 ・・・ 出産手当金、傷病手当金など
- 雇用保険 ・・・ 失業手当、介護休業給付、育児休業給付など
- 厚生年金 ・・・ 老齢基礎年金
この辺りは、メリットとデメリットを考慮する必要がありますね。
「企業」と「個人」による違い
企業型DC、iDeCoのどちらも運用を行うのは「本人」です。運用商品を自身で選んで運用する必要があるため、投資に関して基礎的な知識を持って行う必要があります。
iDeCoでは個人が主体となっているため、開設する金融機関、運用商品の選定、投資の学習まですべて自身で行う必要があります。
企業型DCでは、企業が従業員への「投資教育」を実施することを努力義務として定められいます。
企業に勤めながら、投資教育を受けて老後の資産運用を行うことができますので、投資に慣れていない方にとっては企業型DCの方がハードルが低いですね。
事務手数料についても、iDeCoは本人負担ですが、企業型DCは企業負担となっているので、メリットの多さでは企業型DCに軍配が上がります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の併用について
2022年10月から、企業型DC制度に関する法改正が行われ、企業型DCとiDeCoを併用するハードルがグッと下がります。
これまでは企業型DCに加入している人でiDeCoに並行加入できたのは、企業型DCの規約でiDeCoへの同時加入を認めている会社の従業員に限られていましたが、法改正によりその要件が撤廃され、企業型DC加入者の意思で併用することが可能となります。
企業型DCとiDeCoを併用できることのメリットは以下の通りです。
掛金の上乗せができる
企業型DCの加入者がiDeCoにも加入すれば、企業型DCの掛金の上限額に加えて月2万円多く拠出できるようになります。
掛金額が増えれば控除額も増えるので、大きなメリットといえますね。
運用商品の選択の幅が広がる
iDeCoは口座を開設する金融機関によって取り扱っている運用商品が異なっているため、企業型DCでは投資できないけど、iDeCoを活用して拠出したい運用商品がある時には活用の余地があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の併用についての注意点
企業型DCとiDeCoの併用について、1つ注意点があります。
企業型DC「マッチング拠出制度」がある場合、iDeCoはマッチング拠出と併用することはできません。
その場合はどちらかを選択する必要がありますので、併用を考えている方は注意が必要です。
※マッチング拠出とは?
- 企業型DCでは、会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することができ、 このしくみのことを「マッチング拠出」といいます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は企業型DCとiDeCoはどっちを選ぶべき?という内容で解説いたしました!
それぞれの特徴を理解し、ご自身の老後の資産形成の為に、制度を賢く活用していきましょう!
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