2021年以降の日本経済を考えよう!
投稿日:2021.04.22
前回、30年前と現在における日本経済の変化についてお話させていただきましたが
今回は、ここから日本経済はどうなっていくのか?
現時点で想定できる、今後の経済(日経平均株価)が上昇していくシナリオと、下落していくシナリオについてまとめていきます!
目次
上昇シナリオについて
現時点で考えられる、ここから経済が上昇していく要因は、大きく2つ挙げられます。
- インフレの加速
- 世界中で強力な景気刺激策(政策への期待感)
それぞれ見ていきましょう!
インフレの加速
インフレとはモノの値段が上がり続ける状態のことですが、インフレが起こる原因は
需要が供給を上回る (需要 > 供給)
という事です。
需要が供給を上回り、モノの値段が上がってくると、人々のマインドは
「早く買ったほうが得じゃん!」
となり、購買意欲が刺激されることになります。
そして、消費が活発化することにより結果的に景気が上昇・・・という状況が、インフレが進むと発生します。
日本の需給バランス
では、足元の状況はどうかというと、2020年はコロナ禍で需要も供給も大きく下がったことは、皆さんもご存じかと思いますが
今現在(2021年3月)どうなっているかというと、
需要 ・・・ ワクチンの普及が進んできて回復傾向
供給 ・・・ 需要に対して回復が鈍い
という状況なのです。
ここでひとつ、グラフをご覧ください。
こちらは需要と供給を、それぞれの指数からグラフ化したものです。
ブルーのグラフが「百貨店/スーパー販売数」で、需要を表してます。
オレンジのグラフが「鉱工業生産指数(設備投資の金額を前月と比べたもの)」で、供給を表します。
こうしてみると、需要は2020年6月以降は、前年と比べても上昇傾向にあります。
対して供給ですが、2020年4月以降、前月比で100%を割り続けています。
これは、設備投資額は減り続けている(=供給は減り続けている)ことを表しています。
このように指数からみても、供給が戻っていない状況で需要が膨らんでいるため
モノの価格が上がる = インフレになるのではないか?
とみられています。
アメリカの状況
また、日本と経済上関係が深いアメリカでは、令和3年3月に200兆円の経済対策法が成立しました。
※アメリカで200兆円の新型ウイルス経済対策法が成立 バイデン大統領が署名 - BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/56355960
200兆円のうち、100兆円は家計の支援に充てられます。
今回の経済対策法により、3回目の給付金の供給が決定し、特例で失業給付の積み増しを9月まで延長する審議が進んでいます。
ここで懸念されるのが、アメリカ国民の労働意欲の弱体化による、供給の減少が懸念されています。
アメリカが世界経済に及ぼす影響は絶大ですので、アメリカの供給の減少により、世界的なインフレがささやかれています。
世界中で強力な景気刺激策(政策への期待感)
現在、世界各国で経済を上向かせるための政策が次々と打ち出されています。
日本においても
※金融政策(日銀の政策)
- マイナス金利
- 金融緩和
※財政政策(政府の政策)
- 給付金
- GOTOトラベル
上記のような形で、中央銀行と政府の双方が、強力な政策を打ち出すことを
「ポリシーミックス」
といいますが、現在、世界中でポリシーミックスが行われており、これにより経済が上向くであろうという風に言われています。
これらの要素が、ここからの経済の上昇シナリオです。
下落シナリオについて
では、ここから経済が下落する場合の要因についてみていきましょう。
下落リスク = 急激な金利上昇
一般的に、金利が上がると、株式の成長率よりも、金利収入の魅力のほうが上がるため、株式が売られ、債券に資金が向かう、という構造になるため、株価は下がると言われています。
また、金利が上がると、会社が融資を受けづらくなり、設備投資が減少し、経済の循環が悪くなるともいわれています。
また、景気と金利の相関関係は
景気が良い↑ = 金利が上がる↑
景気が悪い↓ = 金利が下がる↓
という形になります。
もう一つ、金利には、「短期金利」と「長期金利」がありますが、これらは
- 短期金利 = 今/現在の景気が良いかどうか(変動要因:政策金利)
- 長期金利 = 将来の景気がよさそうかどうか(変動要因:経済の過熱感)
の指標でもあります。
投資は先読することが重要ですので、投資家は長期金利に注目するのですが、それを踏まえて、米国長期金利のチャートを見てみましょう。
2020年2月にコロナショックにより大きく下落したのち、様々な政策の効果によって、先行きの期待感が高まった結果、長期金利は大きく上昇しています。
このまま長期金利が上昇し続けることで
- 資金が株式から債券にシフトするのではないか?(株式の売り圧力)
- 設備投資、不動産投資が縮小するのではないか?(景気循環の悪化)
といった理由で、株価は下がるのではないか?といわれています。
通常、金利が世の中の経済の成長率と同じような形で上がることは自然なことなのですが、
今回のように急激に金利が上昇してしまうと、上記のような現象が発生し、逆に経済がしぼんでしまう危険性があるため、注意が必要です。
まとめ(未来の経済動向を見る上で大事なこと)
今回は、今後の経済の動向がどうなるか?上昇、下落双方の要因についてまとめてみました。
未来の経済動向を見ていく上で、
- 需要と供給のバランス
- 各国の金融・財政政策
- 長期金利(特にアメリカ)
これらがどうなっているかを見てみると、ある程度の予測を立てる指標になります。
あくまで参考程度ですが、これらの仕組みについて、頭の片隅にでも覚えておいてくださいね!
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